小規模な分析室において”No More USBメモリ!“や”測定データの配信・吸上げの効率化”を簡便に実現するため、安全なネットワーク接続を確保し、測定データ転送をネットワーク経由化させる「小規模分析室向けの測定データ集約・配信システム」を民間ITシステム構築ベンダーと共に構築し、学内2つの分析室(基礎工学研究科NMR室、工学研究科分析センター)に導入しました。

今後は、これを”標準化システム”を学内の小規模分析室に広く導入し、加えて全学データ集約基盤ONIONとの連携を通して、研究データのネットワーク流通や学内外との循環利用を推進し、本学における研究DX化の基盤として活用していく予定です。

背景と詳細

共通利用の分析機器を集めた”分析室”が部局ごとにあります。分析装置を制御するコンピューターの多くはWindows 7やWindows XPといった”レガシーOS”使っていたり、セキュリティ確保の観点からネットワーク接続していない-が実情です。ネットワーク接続をされいないため、分析装置を使って得られた測定データの取り出しには、各自のUSBメモリを使たり、DVD-R/CD-Rを焼くなど、セキュリティ上の弱点となっているだけでなく手間もかかり、装置の利用支援を行う技術職員の大きな負担となっていました。

もちろん、ファイルサーバーを立ち上げ・運用することで、ネットワーク経由でのデータ転送を実現できます。しかし、これらの分析室の多くは数名の少ない技術職員によって機器管理や利用支援が行われており、これらの少人数の機器担当者でファイルサーバーの立ち上げ・管理を行うことは困難です。

同システムは、専任のネットワーク管理者をおけない小規模分析室での運用を念頭し、最小限の管理で安定的に安全に運用できるように設計し、また、今後は類似の分析室に広く導入していくことを念頭にシステム設定や運用ルール等を標準化しています。加えて、本学サイバーメディアセンターの連携により、同センターが構築・運用している本学の全学データ集約基盤ONIONと自動的にデータ同期が行え、ONIONを通して学内外の研究者との研究データ共有が簡単に行えるようになっています。

今後は、この”標準化”システムを学内の小規模分析室に広く導入し、加えて全学データ集約基盤ONIONとの連携を通して、研究データのネットワーク流通や学内外との循環利用を推進していく予定です。

本システムは、文部科学省 令和2年度第3次補正予算「先端研究設備整備補助事業(研究施設・設備・機器のリモート化・スマート化)」の事業の一環として導入されました。